星の王子さまとはどんな話?−1失った恋への悔恨

星の王子さまはどんな話?−1失った恋への悔恨ストーリー。

星の王子さま、私なりにしみじみいい話と思って読み返したりするけれど、王子さまのバラとすれ違った辛い思い出が全編にあって、どんな本なのかやっぱりナゾだわ。

kurumisenichiya

Bonjour ! 王子さまの感情がほとばしるように描写されていることの一つが「バラ」についてです。本の中に見え隠れしては王子さまの心を揺さぶる女性「バラ」。この記事では王子さまとバラの不協和音に着目。星の王子さまがどんな本なのか?きっと見えてくることと思います。

*この記事内の挿絵の画像は、山崎庸一郎氏の〈小さな王子さま〉から引用しました。

飛行士の前に卒然と姿を表した王子さまは、彼にかつての思い人、美しいバラの存在を語り始めます。

二人の出会いから別れまでを追って、王子さまの姿、バラの姿、破局と〈星の王子さま〉の話の展開を見ていきましょうか。

バラの美しさに圧倒され固まってしまう王子さま

本の第7章より:

飛行士は機体の故障、飲み水も底を尽きそうな切羽詰まった状態の中で、王子さまにバラという思い人がいたことを聞かされます。

王子さまは息を呑むほどに美しかったバラを、飛行士に「棘のある花」として語り始めます。

王子さまはバラを「か弱い」「無邪気」と形容し、恋すれどバラとの不協和音の果てに別れた思いを、人を愛したことのない人にこんな気持ちなど到底分かるまい、というようなことを言い、突然すすり泣く。

王子さまがどれほどバラを愛していたか、なのに別れてしまった悲しみを強く描写しているシーンです。

そんなに美しい人を前にして、王子さまはどんな気持ちだったのだろう? もしあたしに超イケメンが現れたら、うろたえてどうしていいかわからないだろうなあ。

バラはあまりに美しかった。

バラの蕾がほころび、初めて姿を現したときの息を呑むような美しさへの感動。しかし美しさに呆然としている王子さまに、バラは王子さまに現実的な要求を始め、王子さまは夢見心地と現実の狭間でオロオロしたり、気がつけばこんな筈では、な日を繰り返すことに。

美しいバラにどう接していいかもわからずに固まっている王子さまに、バラは多分、気の利いたことも言わない、気の利いたこともしてくれない王子さまにイライラし始めた、と想像できないでしょうか。

でもさ、固まってるくせに、バラをあんまり謙虚じゃないと思ったりする王子さまってさw

星の王子さまとはどんな話?−1失った恋への悔恨

胡桃

バラの人物像は王子さまより年上な感じもするけど、自分の美しさをよく分かっているっていう点でツワモノな感じもするわね。

王子さまの飛行士への打ち明け話は続きます。

バラは思うようにならない王子さまに痺れを切らしたように、「あたしのことを考えていただけないかしら?」と切り出します。

王子さまはハタと気がつき、やっと朝食の支度、つまり新鮮な水をかけてやったりするのですが、王子さまはバラの気位の高さに翻弄され気難しいばかりの存在となっていきます。

星の王子さまとはどんな話?−1失った恋への悔恨

一方でバラの方からすると?

自分の棘の話を始めます。「棘があるから虎が来たって平気よ!」と言ってみたりするも、間抜け、じゃなかった、生真面目な王子さまは「僕の星には虎はいませんよ」と正論を返し、「それに、虎は草なんか食べるわけないじゃん」と正論でトドメを刺す。

胡桃

それで、そうでなくても誇り高いバラは「あたしは草じゃない」って厳かに答えるわけ。

バラが言わないと王子さまは何もしない、何を話しても気の利いた言葉が返ってこない。あーもう!見ちゃいられないわ。

王子さまとバラ、すれ違いのピーク、そして別れ

バラは王子さまに対して俄然応戦モードに入ります。なぜって、女性の皆さん、大好きな王子さまに気持ちを態度や言葉で表して欲しいから、と思いませんか?

男性の皆さん、面倒くせー女はちょっとな、と思うかしらね?

バラは、「虎なんか全然怖くないけど、冷たい風が嫌なのよ。風よけになるつい立てはあるかしら、寒いから夜は多いガラスを被せて欲しいわ・・・」と王子さまに難題攻撃をふっかけます。

王子さまはバラの一語一句を真に受けて、気難しさに辟易します。バラの気に入るようにしようと懸命になっても、バラは決して満足することがない。

胡桃

バラが棘の話をするのは王子さまに優しくして欲しいからでしょう。つい立ての話をするのもつい立てが欲しいからじゃないわね。

王子さまに風よけになって欲しいのよ!ほら、タイタニックの映画みたいに船の先端で両手を広げてさ笑

(´゜д゜`)?

バラの女心に気づかず正論をかざしたりするから、楽しいはずの会話も悲惨な展開になる。。バラもはっきり言えばいいものを、なんて、女心には無理な注文よね。

そうこうするうちに王子さまは、バラはもうムリ、と思うようになり、バラもついに「あたし、馬鹿だったわ」と不滅の決まり文句を振り絞り、「ごめんなさいね、幸せになってね」と優しい言葉をかけ、「何処へでも早く行ってちょうだい!」と未練を振り切ります。

王子さまは別れてから恋が破れた理由に気づく

飛行士にバラとの一部始終を打ち明けたあと、打ち明けたからこそかな、バラの言葉とは裏腹の、王子さまにとってどんな存在だったのかに気づき、自分の未熟さで恋が叶わなかったことに打ちのめされるのです。

本では、王子さまがバラに別れを告げて星を離れ、期せずして地球の砂漠に降り立ってからも、自分に対するバラの姿に気づいていくシーンが描かれます。

そして王子さまはこの世を去ろうとする瞬間まで、傍にいる飛行士にバラへの想いを語ることを止めません。

星の王子さまって話は、あれ?結局のところバラとの恋の後悔なのかしら?

失った恋の悔恨ストーリー まとめ

星の王子さまという本、話は、自分を愛してくれたバラの心に気づかなかった後悔、気づいたことによる懺悔というか悔悛というか、そういう物語。

サン=テグジュペリからメッセージがあるとすれば、目の前にある幸せに気づかないと。そしてそれを失うことのないように、ということでしょうか。

星の王子さまの話は決してバラだけではなく、他にも物語を構成する柱が幾つもあります。だから〈星の王子さま〉はなかなかに難解なのだと思われます。

以前の記事で、星の王子さまは著者サン=テグジュペリそのものである、ということを書きましたが、このように話が終始、バラとの恋の回想で彩られているところに注目すると、王子さまはサン=テグジュペリに他ならないことがよく分かりますね。

もちろん、飛行士もサン=テグジュペリ自身であるので、自身の回想を王子さまにさせている、とも言えます。

どちらにしても、人と出会って恋をして別れが来て、互いが離れたことで気づく「ほんとうと後悔」をこれほど真っ直ぐに自分と向かい合い、美しい挿絵とともに描かれて、珠玉の作品というほかありません。

王子さまの役所は子どもなんだかおじさんなんだか分からないわね笑 おじさんが子どもの口を借りてバラに謝ってるってことになるかなー。面白い本!益々好きになっちゃう!

胡桃

王子さまとバラの恋、すれ違う恋の永遠のテーマとも言えるところですので、次の記事でモリモリ深掘りしていきます。お楽しみに!

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お読みいただき、ありがとうございました。
Merci et à bientôt !

       

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