遅すぎた。王子さまがバラと別れて気づいた本当の愛−1

遅すぎた。王子さまがバラと別れて気づいた目に見えない愛−1

王子さまはバラに恋して恋心を向けても全然幸せではなかったようね。星でただ一輪の花だったのに。幸せってどこにあるんだろう?と考えてしまうわ。

kurumisenichiya

Bonjour ! この記事ではバラと別れた王子さまが、バラに振り回されたと思っていたことが、実は自分こそバラへの理解が足らなかったとざぶざぶ後悔する場面を見ていきましょう。星の王子さまの、まさに名場面ですよ。

▽参考:前の記事で王子さまとバラが決別したところまでを書きました。

王子さまは目に見えることしか見ていなかった

第8章の終わりの部分を解説していきます。

王子さまはバラの美しさに惹かれ、恋心が芽生え、バラに真摯に向き合おうと思うものの、バラの支離滅裂な言動を真に受けては、彼女が自分をどう思っているのか? 故意に苦しめようとしているのか? 彼女の心を疑い始めた。

疑い始めたことで、王子さまは自分を自分で苦しめていくことになった。

飛行士にバラとの息詰まる恋の顛末を打ち明ける王子さま。

打ち明け話は、王子さま持ち前の洞察力でバラを「女の矛盾」「見え見えの企み」という女性にとっては冷たいほど現実的な分析結果を出しながらも、自分の「反省点」を見出し、その矛盾と企みにどう処すればよかったのか?「対処法」と、あの時対処できなかった「理由」に気づいて胸が張り裂けんばかりに「後悔」に咽ぶのです。

反省点

バラ(女)の言うことをいちいち真に受けちゃいけない。

言葉ではなく、バラがどんなことをしてくれていたか、そこにいて芳しい香りで包んでくれて、晴れやかな気持ちにさせてくれた。そんな彼女の、物言わない彼女のそのままを判断するべきだった。見え透いた謎かけに隠された彼女の本当の優しさを知ろうとしなかった。

棘の話にしたって、王子さまはバラの一語一語真に受けてイライラするばかりで、なぜバラはそんな話をするのか、バラの気持ちを考えようとしなかった。

息詰まる恋に対処法があったとしたら

王子さまは止め処もない後悔の中で気づきます。

バラの姿を見て、香りに酔いしれるだけでよかったのだ。つまり、いてくれるだけで幸せだったのだ。

一見支離滅裂に聞こえる話からも、目には見えないバラの心を感じ取ってやるべきだった。

ここは星の王子さま名場面中の名場面。目に見えない大切なものを見なきゃ。

しかしどれほど後悔すれど、あの頃の王子さまは本当にどうしようもなかった

バラの、見え見えの罠のような話の展開、時にすぐバレるようなウソを口にするし、言葉と裏腹の思いを見抜くことなんて到底できなかった。

なぜって、

僕は幼すぎて、彼女を愛するすべを知らなかったから 小島俊明氏訳

泣ける。可哀想に。女の子は言わないセリフだけど、男子はこんな気持ちの人が多いのかも。

胡桃

女は、バラのように静かに振り切ってスッと大人になっていくものね・・・。

男子のこんな気持ち、女子もちょっとわかってあげなきゃいけないわね。

胡桃

バラなりに優しさを振りまいていて、素直になれない甘え下手のようなところもあるけれど、甘えたら甘えたであの王子さまがどんな反応をするかわかるのよね、多分。

( ̄^ ̄)

翻訳者の人生経験がモノを言う場面

ということで、私は個人的に星の王子さまの本の中でも名場面中の名場面と感じている部分です。

一般的に星の王子さまの名場面、一般的に有名なくだりと言われているところではありませんが、本当にやるせない、泣けてくる場面です。

そしてまた、翻訳者がどのように訳すか?も見どころと言えましょう。先に河原氏の翻訳を引用しましたが、他には

  • ぼくは、幼すぎてあの花を愛することが出来なかったんだよ。山崎庸一郎氏

  • 彼女を愛するっていうことができるには、ぼくはまだとってもお幼すぎたんだ。河原泰則氏

バラと別れて気づいた目に見えない愛ー王子さまからのメッセージ

星の王子さまとバラ

 王子さまはバラを言葉ではなく

 心という目に見えない優しさに気づくべきだった。

と心から後悔しています。そして、

 自分は人生経験もなくて生真面目なばかりでバラの優しさに気づかなかった。

と。

王子さまは、幸せは人に与えてもらうものではなく、自分次第、自分の中にしかない、と分かったのだと読み取れないでしょうか。

そして自分が未熟だったと認めて、どうしようもなかった、と、あの頃の自分を許しているような。

作者サン=テグジュペリからの、宝石のようなメッセージかも知れません。

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お読みいただき、ありがとうございました。
Merci et à bientôt !

       

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kurumi千一夜 | 星の王子さま

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