星の王子さまがバラと別れて気づいた本当の愛-1

遅すぎた。王子さまがバラと別れて気づいた目に見えない愛−2

王子さまとバラの別れ、どっちも頑固というか一途というか、でも王子さまがバラが自分にとってどんな存在だったのかに気づくところは涙ものよ。

kurumisenichiya

Bonjour ! 別れなければ気づくことがない。別れたからこそ気づく。ああ切ない。王子さまの気づきと後悔は星の王子さまのお話の名場面の一つと言えましょう。この記事でご一緒に、後悔のやり切れなさ、バラの深い愛情に包まれましょうか。

▽参考:前の記事で
星の王子さまがバラと別れて気づいた本当の愛-1

第19章より

バラと訣別して地球に降り立った王子さま。蛇と出会って、ここが、アフリカのサハラ砂漠であること、人間など住んでいない場所であることを知ります。

果てしない砂漠を歩き続けるも1輪の花に出会っただけ。

そこで、高い山に登ってみることに。王子さまは《こんなに高い山の上からなら、この星、地球の全体と全ての人を見渡せるに違いない》と思ったのですが、見えたものは針のように尖った岩山だけだった。

サン=テグジュペリ星の王子さま

しかし王子さまは、もしかしたら声を出してみたら誰か反応するのでは?と思い、《Bonjour. ボンジューール! こんにちはー!》と岩山が続く風景に大きな声で言ってみます。

返事は、こだまでした。

そのこだまに対して王子さまは《誰なのー?》と尋ねます。

王子さまはこだまという現象を知る由もないのですが、それよりも人恋しさのあまり、こだまを人間と思ったのでしょうか。

《僕は独りぼっちなんだ・・・》と言えば、無情にもおうむ返しに〈独りぼっち・・・独りぼっち・・・〉と返ってくるだけ。

王子さまの孤独に追い打ちをかけるような感じね。可哀想に。

ああ、こんなとき、僕のバラは

星の王子さまとバラ

さあ皆さん、心の目を見開いてこの文を読んでみましょう。(3人の方の翻訳を引用しますがどれか一つでいいです)

第19章より最後の文:

彼女は、いつも先に話しかけてきたものだった・・・小島俊明訳

いつでも真っ先に自分から口を開いて何かを言ってくれるのになあ・・・河原康則訳

いつも向こうから先に話しかけてくれたのに・・・山崎庸一郎訳

胡桃

王子さまはバラといるとき、気まずい沈黙とか、無言の重い時間など過ごしたことがなかったことに気づくのです。

あたしだったらあんまり喋らない男は疲れるなあ。バラはオーラが大きくて、実はうんと優しいんだわ。

棘の話にしても、ヘンな展開に聞こえるけど、相手が何やかやと喋ってくれていたことにどれほど救われていたことか、たまたま砂漠という無人の場所に降り立って、かつて住んでいた星とは天と地ほども違うガサガサの岩山でバラがどれほどあったかい心を向けてくれていたのかを思い知ったのです。

胡桃

サン=テグジュペリも飛行中の孤独をうんと経験していると想像しますが、この辺りの描写も切なくてゾクゾクするほど見事と思いませんか?

バラと別れて気づいた本当の愛 王子さまからのメッセージ

 自分から話しかけてくれる、という当たり前のような日常に、相手はどれほどの思いを込めていることか。

 相手を心から思っていなければ、実はなかなか出来ないこと。

このシーンも、一般的に言われている目立つような名場面、名言ではないものの、胸がいっぱいになるシーンではないでしょうか。

そうね。あたしもなかなか喋らない人にはこちらから話しかけるようにしようかな。

胡桃

それがいい。こちらから話し始めるように、感情抜きに「決める」の。誰のためでもない、自分のためにね。

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お読みいただき、ありがとうございました。
Merci et à bientôt !

       

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