星の王子さまのキャラクター。愛すべき4つの特徴

王子さまのキャラクター。愛すべき4つの特徴

王子さまはサン=テグジュペリ自身?と思うと話の見え方が変わるけど、笑ったり怒ったりの王子さま像もまたミステリアスだわ。星の王子さまはいったいどんな坊やなのかしら?

kurumisenichiya

Bonjour ! 王子さまがどんな人物なのか、サン=テグジュペリは王子さまにどんな人物像を描こうとしたのか、謎めいたキャラクターをフランスに住んで気づいたことも添えてまとめてみました。物語全体を成す柱とも言える部分ですので、星の王子さまの本を読んだ方もよく分からなかった方も、ご一緒に見渡してみましょう!

▽参考:前回の記事:王子さまとは誰なのか?

前回の記事で、王子さまとはサン=テグジュペリそのもの、また、サン=テグジュペリ=飛行士『僕』が伝えたいことを援護射撃するかのような分身であり心の相棒のようだと感じられる考察を書きました。

そこで、不意に現れた王子さまとは、飛行士にとってどんなキャラクターなのか? 本のあちこちに散らばる王子さま像を集めてみました。

カタカナでキャラクターと書くと軽いイメージになりがちですが、個性以上の「人物像」について書いてみます。とは言っても、飛行士と映し鏡の如く、なのですけどね。(*^-^)!

王子さまが現れる前の飛行士の孤独

飛行士の前に王子さまが現れる前、彼はどのような人生を送っていたか?本の中から見てみましょう

心を開いて話せる人(河原康則訳)/本心で話せる人(小島俊明訳)もなく、

孤独に暮らしていた(山崎庸一郎訳)/一人ぼっちの人間だった((河原康則訳)。

この文章から想像できることは、

周囲の人と考えや意見が合わず、話が通じる相手もなく、友と呼べる人はいなかった

ということでしょう。

ありゃ。最近の世の中と変わらないわね。

そこでサン=テグジュペリは同じく自分自身である飛行士に本音で語り合える王子さまを会わせることにしたのではないかと想像できないでしょうか。

王子さまのキャラクター1:人生をわかっている

王子さまは

人も物事も心の目で見る=目に見える情報を鵜呑みにせず自分の頭で考えることの大切さをわかっている

本の最初の方に、大人たちが数字大好きなことに対してそれが何だというのだとこきおろし、それに対抗するように次のような文があります。第4章の、飛行士が王子さまの惑星はとても小さいところであるとわかってからの文です。

けれども、もちろん人生を知っているぼくらは(河原康則訳)/

でも、もちろん、人生というものがわかっているわたしたちは(山崎庸一郎訳

物語の始めの方で王子さまとの時間を回想する箇所でこの記述があり、以降、物語を通して王子さまと飛行士それぞれが、人生をどのようなものと考えているか、人生とは何なのかを更に解釈してゆく過程が展開されていきます。

そうか・・この話は誰々が何々をした、というストーリーと思い込んで読んでると訳わからなくなるんだな。ちょっとわかった気になったぞ。

そしてこの文から想像できることは

「ぼくら/わたしたち」 と表現していることで、二人は考え方や価値観を同じくする者同士ということを強調している。

胡桃

飛行士と王子さまの繋がりは、人と人との関係の理想の境地であることを物語っているようですね。

星の王子さまを読み解く手がかり

繰り返しになりますが本の冒頭で飛行士が王子さまを回想しつつ、飛行士と王子さまの人物像なりを展開して、そのために大人の残念な姿が描かれていたりするので、話の展開がどうなっているのか?わからなくなってしまうことも無理はないでしょう。

本を開くと、飛行士は王子さまに羊の絵を描かされ、王子さまの惑星がごく小さいことを知り、そこへ突如として「人生をわかってるぼくたちは」なんて二人の絆の強さを断言する場面に〈話がコロコロ転がって〉いるわけです。

更にこの後に「〈僕たちは〉数字なんか軽蔑してる」と続くあたり、サン=テグジュペリが目に見えることにしか価値を持てない大人を読者に息もつかせずこき下ろしているかのような場面によって、そうではない飛行士と王子さまが心の目を持っていることを強調している、という風に読んでみると、この本の面白さが感じられるかも知れません。

私たちも飛行士と王子さまと一緒に自分の頭で考えない大人を嘆こう。。!

王子さまのキャラクター2:感受性が強く想像力豊か

王子さまは

箱の絵の中で眠る羊を想像してご満悦

すごく悲しいときは日の入りを見たくなる

別れたバラを、別れて期せずして地球に降り立ったことで理解することになった

感傷的=メランコリーという感情、フランスで何とは無しに好まれる言葉とでもいうかな。日本語だとちょっと悲観的というようなネガティブ感情のように思われるかも知れませんが、フランス語だと繊細な人というようなニュアンスもあります。

王子さまの人物像もも実にフランス人らしくメランコリックな性質がよく描かれていると思います。

一時的に感傷的になることは誰にもあることですが、王子さまは一途で筋金入りなメランコリー。想像力とはすなわち思いやり深いということ。
それが物語を盛り上げ、死へ向かいます。

星の王子さまって知れば知るほど、震えるほどドラマチックな物語! サン=テグジュペリもきっとメランコリックな人だったのね。

王子さまのキャラクター3:人の姿を見抜く洞察力の持ち主

王子さまは

人も物事もうわべでしか見ない大人が大嫌い

ことの真実に目を向けず、いかにもしたり顔をした大人が大嫌い

可愛そうなくらい滑稽な大人にため息をついたりする

前出のキャラクター2でお話しした〈人生をわかっている〉と重なる要素でもありますが、星の王子さまの話を読む上でとても大事なところです。

王子さまは小惑星を訪ね、自分以外は皆家来(奴隷?)な王様、見え張り男、酔っ払い、実業家、天灯夫、地理学者と会い、それから期せずして地球に降り立ち、転轍手、丸薬の商人、という風に8人の人間に会ってゆく人間ウオッチングが展開されます。(王子さまの人間ウオッチングについては別の機会にお話ししようと思います)

それぞれの人物が表向きで言ってることとは裏腹に、王子さまは彼らの真の姿を見抜いていきます。

洞察力は星の王子さま全体で語り尽くされているテーマの一つともいえるでしょう。サン=テグジュペリがどれほど、真実を見抜く目を持つことの大切さを言いたかったのかが、よく分かる要素でしょう。

王子さまのキャラクター4:フランス人らしい人間味

大人はキノコだ!真っ青になって大人に怒り

真っ赤になって愛したバラを庇う

人の質問に答えないくせに自分の質問は答えを得るまで諦めない

胡桃

フランスで暮らすようになってから王子さまはいかにもフランス人気質だなと思いました。

私も青くなったり赤くなったり出来る人がいたらなあ!

フランスで暮らして「人」というものについて思うことの一つは、人情がある、情けが熱い ということかな。

感情を表に出すことをあまり良しとしない日本の民族性と違うけど、概ね短気だしホントに真っ赤になって怒ったりするからビックリするしかないんだけど、照れると耳まで真っ赤になったりするのでこちらまで赤くなりそうになったりするんだけど、まあ感情が分かりやすい。

そして何事にも個性を重要視する国。

だからフランスの映画は面白いのね。星の王子さまも挿し絵が多いせいもあるけど、話がわかってくるとアメリを見てる時のような気分になるわ。

星の王子さまのキャラクター まとめ

王子さまのキャラクターをまとめてみると

鋭い洞察力と真っ直ぐな心映えを持ち

物事を自分の目で見て自分で考え

自分を偽らず

むやみに他人に同調することなどあり得ない

喜怒哀楽、メランコリックな面があって人間らしい

すごく私的に考察してみましたが、いかがでしたでしょうか。

サン=テグジュペリは王子さま像を自身の投影の如く描き、坊やに大事なことをモリモリ語らせています。

また、僕は本心で話が出来る、こんな友達と出会いたかったのだ、とうような理想像でもあるようで、実際に王子さまのような友が存在したのではないかと本の中からも伺えます。

星の王子さまは飛行士の物語であり王子さまの物語であり、その両方がサン=テグジュペリの物語なのですから、本当に壮大な人生の物語といえますね。

胡桃

私たちも友を描きましょう。その人は必ず現れますから。

星の王子さま書籍

読書・翻訳本

フランス語朗読CD付き書籍

星の王子さまでフランス語を学ぶ書籍

お読みいただき、ありがとうございました。
Merci et à bientôt !

       

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